金継ぎ師になるための修行日記

欠けた陶器・磁器の修理は自分でできる!【金継ぎ動画配信中】

こんにちは(*´ー`*)
大切にしていた陶器・磁器・陶磁器などの食器が割れてしまった方、すぐに捨てるのはちょっと待った!今大人気の金継ぎで、一緒に素敵にお直ししてみませんか?

2020年に金継ぎの会社を立ち上げるたYukiが、まだ会社を設立する前に金継ぎの修行をしていたとき、東京の狭い自宅のキッチンでDIYのように夜な夜な金継ぎしていました…笑。おうちでどのような金継ぎ作業をしていたか、動画を交えて分かりやすくご紹介します^^
金継ぎする毎日が、まるでお料理をするようだったので、よくある料理動画のように、陶器の欠けを修理する様子を、真上からの俯瞰動画で撮影してみました!
あなたも棚の奥から割れた・欠けた陶器を見つけたら明日から自宅で金継ぎしてみたくなるかも?!

2時間でできる最初の行程!漆を塗った陶器・磁器をオーブンで焼く

友達から、欠けた素敵な器を4点お譲りいただきました。さっそく自宅で金継ぎ開始です☆
割れ・欠けた器はまず、その断面をきれいに中性洗剤で洗い、よく乾かしてからです。割れ・欠けた面に油や塩がついているのは、厳禁なのです!後で漆を塗っていきますが、くっつきにくくなるからです。

ではまずは最初の「焼き継ぎ」という工程から。この工程は、行う派の職人さんと、行わない派の職人さんがいるので、どちらでも良いのですが、この頃の私は師匠の手法を受け継いで、焼き継ぎを行っていました!
焼き継ぎは行った方がよいのか?そのメリットとデメリットは、なかなかマニアックな内容なので、また後日ブログに書こうと思います。
焼き継ぎは、割れ・欠けた陶器・磁器の表面に「木地呂漆(きじろうるし)」を塗りティッシュでよく拭き取って、うっすら茶色が器に残っているくらいにし、器を漆風呂に入れて1日放置する行程なのですが、漆風呂ではなく、オーブンに入れて120度で2時間焼くと、時短でできあがります!
ということで、まるで料理のようですが、オーブンで磁器たちを焼いてみました♪

その様子を動画で2分41秒におさめたので、ゆっくりごらんください^^

なんで漆を塗った陶器・磁器をオーブンで焼くの?という声が聞こえてきそうです。
この工程により、漆をしっかりと器の肌にくっつけているのですが漆が固まる(乾く、といいます)条件は温度20〜30℃、湿度70〜85%以外に120℃以上の高温(湿度関係なし)でも乾くのです!!
そのため、オーブン中で焼いてしまうことで、湿度がなくても漆を一気に乾かすことができます。

ちなみに、後にたくさんの本を読んでいて知ったのですが、120℃よりさらに高温の150℃で焼くことで、2時間ではなく30分というさらに短時間で、焼き継ぎの工程が完成することも分かりました!そもそも焼き継ぎの工程すら省く派の方もいるので、どれを選択しても良いです◎
※2021.9.23 追記:ちなみに現在のYukiは、焼き継ぎの工程を省いています。

なお、このように漆を塗った陶器・磁器をオーブンに入れて良いのは、この最初の焼き継ぎの工程のみになります。金継ぎが完成した後の陶器・磁器は、金粉・銀粉などの金属を含むため、オーブン・電子レンジはご使用になれませんので、ご注意ください!

割れた陶器・磁器の修理方法と使用する接着剤について

割れた陶器・磁器をお持ちのあなたは、接着剤で割れを接着します。接着剤は、伝統金継ぎにおいてはアロンアルファなどの合成接着剤ではなく、自然の材料を使います。合成接着剤は食品安全法を通っていないため、口に触れる食器に使うことができないからです。

伝統金継ぎにおける接着剤の材料は超シンプルです。漆と、小麦粉(薄力粉)と、水だけ!超簡単!!この3つだけのシンプルな材料を練り練りしてできた天然の接着剤を、金継ぎ業界では「麦漆(むぎうるし)」と呼びます。

ム・ギ・ウ・ル・シ♪

そして、その麦漆を、うすーく割れた面(両面)に塗っていきます。
塗れたら、いざ、破片同士を合わせましょう!すこーしだけ割れ面から麦漆がはみ出るくらいが、ちょうどいい麦漆の量です。
割れた破片同士に段差がないよう、しっかりと合わせてくっつけ、この後重力でズレてこないように、マスキングテープまたはセロテープで、ピタッと張り合わせて固定します。
接着した器は、「漆風呂(うるしぶろ)」とよばれる、金継ぎ修理中の器を保管する用の箱(温度20〜30℃、湿度70〜85%に保つ)に、1週間以上保管し麦漆が、割れの内部の芯までしっかりと乾くようにします。

1週間後 – しっかりと麦漆の接着剤が乾きました。すると、多くの場合、これまで気づかなかった欠けが、割面の隙間に見えることがあります。ですので、接着した後は、割れ面の隙間に見える欠けを埋める作業が必要です。もちろん、もともと欠けがあった箇所も、埋めていきます。

それではいよいよ、欠けを埋める作業について、ご説明していきます!

陶器の欠けを埋めるパテを、漆を使って作る方法

割れ面の間にできた欠けは、「刻苧(こくそ)」と呼ばれるパテを作って、埋めていきましょう!刻苧って、漢字で書かれても難しくて読めない!(または、漢字で書けない…)ので、本ページではひらがなで「こくそ」と書きますね。笑
こくそを作る方法は、いたって簡単!先ほど、割れの接着剤として作った麦漆に、木粉(きこ)と砥粉(とのこ)を入れて混ぜるだけです!ですので、接着で使用した麦漆は、捨てないでくださいね^^
麦漆は、ラップに入れて空気に触れないようにして冷蔵庫に入れて保管しておくことで、1週間以上使用することができます!

それでは、新しい材料の説明です。
木粉は、文字通り、木の粉で、おがくずのこと。砥粉は、砥石を切り出した時に出る粉で、岩石を粉にしたものです。こんなマイナーな金継ぎ材料、一つ一つ入手するのは大変!と思った方は、最近は金継ぎキット・セットがたくさん販売されているので、そういったのを購入されるのが楽で早いです◎
さて、麦漆・木粉・砥粉を力を込めてよーく練り、すごく固くなったら、こくその出来上がり!自然の材料だけでできた、欠けを埋めるパテです^^
欠損している陶器のピース、一部になるものなので、木粉と砥粉は本当にたくさん入れて、とても固いパテを作ってくださいね!

意外と難しい?!陶器の欠けを埋める補修作業

やっと刻苧(こくそ)ができたら、いよいよ陶器・磁器にある穴や欠けを埋めていきます!
伝統的な方法では、竹へらを使います。竹ヘラの先に、ほんの少しだけこくそをつけて、最大0.5mm-1mm厚で薄く塗ります。塗るというか、こすって定着させます。勢いよく竹ヘラを動かすとポロっと取れることが多いので注意!

この竹ヘラ使いが、多くの方にとって初めてのことなので、金継ぎ教室ではどなた様も苦戦します(笑)ですので、うまくできなくても、落胆しないでください^^
コツとしては、竹へらの先にこくそがべったりついていると、こくそ同士がくっついて、やりにくいので必ず、竹ヘラの先はマメに綺麗に拭き取り、少しだけこくそをとって、少しずつ欠けを埋めるようにしてください。

埋まったら、1-2日くらい、修理中の陶器を漆風呂(温度20〜30℃、湿度70〜85%)で保管します。そしてまた、修理中の陶器を漆風呂から取り出して、埋まりきっていない欠けに、さらに最大0.5mm-1mm厚のこくそを埋めます。この、根気のいる繰り返しの作業。のんびりと、おおらかに。一気に埋めようとしない!がポイントです。
1mm以上埋めてしまうと、こくそが芯まで乾かず、金継ぎ完成後に取れやすくなってしまいます。

こくそは毎回新しいものを作る必要がなく麦漆同様、ラップに包んで空気に触れないようにし、冷蔵庫で補完すれば約1週間使えます。しかし、カチカチになってしまっていたら1週間以内でも捨ててください。ちなみに、こくその方が麦漆より、カチカチになってしまうスピードが早いように思います。

そんな日数のかかる欠けを埋める作業なので、Yukiは人知れず、夜な夜なキッチンで、冷蔵庫からラップで包んだこくそをとりだしては、欠け補修作業を繰り返していたのです笑。
次の章では、Yukiが金継ぎしていた様子を早送りと音楽に合わせて俯瞰動画として紹介します^^

金継ぎの欠けを修復する作業が一目で分かる動画

Yukiは金継ぎを世の中に広めるべく、YouTube・Instagram・Twitter・Facebookと、ありとあらゆるSNSを全種類の網羅して日々更新しています。(まだ増えるかも・・・)その中でも、金継ぎのような審美的な作品で、たくさんの工程と作業が必要になるものは、視覚に訴えるYouTubeやInstagramがわかりやすいと思っています^^
最初はソーシャルメディアから程遠かった私も、YouTube動画作りを始めました!!

百聞は一見にしかず、と言いますが初めて私が作った金継ぎYouTube動画を、どうぞ(⑅•ᴗ•⑅)

この動画の裏側ですが、俯瞰動画を撮影するライト付き真俯瞰三脚(真上から俯瞰動画を撮影する三脚)を買って、画像の編集アプリで切り貼りして…(この頃はInShotという無料の編集アプリを使用していました)初めてだらけでかなり時間を要しましたが、頑張りました ( • ̀ω•́ )b

これが俯瞰撮影の三脚!ネットで5000円で購入◎(なぜか奥にもらいものの柿が!)

俯瞰動画の中で金継ぎしている陶器・磁器は、私の友達からお借りした、高級な器3点を使っています。細長い白い陶器は、すでに第一工程の「焼き継ぎ」は終わり(焼き継ぎは必須ではないですが、この頃は行っていました)
その接着した割れ目の隙間に大きな欠けがあったので、第2工程目で何回か刻苧(こくそ)で埋めていたんですが(黒いパテ)まだまだ埋めたりないので、さらに盛っている様子を撮影しました◎

お家でできるように、漆をのせている定盤も、ミニサイズの白いタイルです。このころは、まだYukiは金継ぎの会社を設立する前なので、現在は商品化して販売中の金継ぎキット「つぐキット」は存在していない時代です。なつかしい^^

↑Yukiのキッチン! DIY感満載です!

自宅で自分で陶器を修復する金継ぎ動画

この陶器の持ち主である私の友人に「見てみて〜!」と意気揚々に、私のYouTube動画処女作を見せて感想を尋ねたところ…「この動画の目的は?」と言われてしまいました。…(((´ºωº`)))!
…うーん…目的、考えてなかった… ということで、この後必死に考え、考え付いたのは…
「金継ぎしている様子を動画で流して、人々を癒す!」です(*´∀`*)

壊れたものが直っていく様子を見て、人々の心の傷も自然と癒えていくような、そんな動画を世の中に届けたい◎ 国内だけでなく、海外にお住まいの方にも、金継ぎがどのようなものか見てもらいたい。
みんな、金継ぎで癒されてくれるかな?
誰にでも、壊れても捨てるのは忍びない、大切にしている品があるはず。そして、金継ぎ動画を見るだけでなくていずれは、自分で金継ぎしてみたい!と思ってくださった人々のために、今後のYouTubeでは、金継ぎの細かいやり方も解説していけたらと思いますが一気にあれこれ手を広げるのは難しいので、できるところから拡大していきたいです。

※2021.9.23 追記:後に、金継ぎのやり方の詳細をのせた、プロの撮影による金継ぎ手順動画を公開しております!ぜひ、「つぐつぐ」の公式YouTubeチャンネルを、ぜひ登録してくださいね^^

動画やブログについて、ご意見ありましたらどしどしお待ちしております☆
今後とも応援をよろしくお願いいたします!

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