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【職人が金継ぎを始めたきっかけ (2) 】 京都 金継ぎ 白金堂 田中 阿季羅さん

はじめに

国内・海外で年々注目が加速している金継ぎ。
金継ぎとは、割れたり、欠けたり、ヒビが入った器を、漆(うるし)と呼ばれる漆の木の樹液を加工した塗料を用いて修復し、最後に金などのお粉でかわいらしく仕上げる日本の伝統技法です。モノがまだそれほど多くはなかった時代には、壊れたモノを修復してもう一度使うことは当たり前でした。大量生産・大量消費の今も受け継がれるべき、日本の素晴らしい文化です。

この金継ぎを職業にされている日本中の職人さん(「金継ぎスト」と呼んでいます)にインタビューをしました。金継ぎを始めたきっかけや、その想いを伺う中、それぞれの金継ぎストの人生に触れることができ、金継ぎにもっと興味を持つことができました!

ミッション

金継ぎを、金継ぎストからの目線で語っていただき、世の中に広く知ってもらう! 

今回の金継ぎスト:京都 金継ぎ 白金堂 田中 阿季羅さん

京都市右京区の妙心寺前で本漆を使った金継ぎを行っている田中 阿季羅さんが、快くインタビューをお引き受けくださいました。
田中さんのお話から学んだことを、私見を織り交ぜながらまとめさせていただきました。

夜、白金堂 入口の写真

店舗情報
住所: 〒616-8042 京都市右京区花園伊町41番地
TEL: 075-467-2313  FAX: 075-467-2313
ホームページ: http://www.kintsugi.net/

金継ぎインタビュー

漆芸・金継ぎの世界に足を踏み入れたきっかけ

田中さんは、以前は陶磁器の販売に関わるお仕事をされていたそうです。

販売と並行して得意先のみの依頼に対し器の修理をなさっていましたが、バブルの後の2008年リーマンショックの頃より、お得意先から「器は売るほどうちにもある、修理をしてもらった方が助かる」と言われたのが、本格的な修理の道に進まれるきっかけとなったそうです。

そして、漆芸師・蒔絵師の先生から漆芸を学ばれ、10年前よりホームページを立ち上げて金継ぎ修理の事業を始められたそうです。

金継ぎのご依頼

京都という観光名所もあって、全国のホテルのコンシェルジュさんが田中さんのホームページを見られて、海外からのお客様への要望に対する、金継ぎのお問い合わせをされるそうです。

最近は、金継ぎされた商品を購入したいので販売して欲しい、というご依頼も増えているそうです。

金継ぎの金額

金継ぎというと、高価な器が壊れたので修理を依頼されるケースが多いと一般的に思われているかもしれません。しかし意外に、元の商品のお値段は高いものばかりではなく、普段使いのものも多いそうです。

例えばお孫さんからのプレゼントのマグカップや娘さんが初任給で買って両親にプレゼントされたお茶碗、海外旅行の折に購入した思い出の小皿など、高額ではないが替わりがきかない大切な品物の依頼の方が多いとのことです。

金継ぎ修理を依頼される方

ご依頼は一般の方だけでなく法人(料亭・割烹・旅館等)、運送会社、引っ越し屋さんからのご依頼も多いそうで、周辺にお住いの方のみならず、北海道から沖縄まで、全国からあるそうです。

金継ぎ依頼が多い時期について

ご依頼に特に季節性はないようですが、連休の中日やお正月など、季節の変わり目の時期にふと器の欠けなどに気付いて、修理をご依頼されることが多いのではないかと推測されていらっしゃいました。

海外からのニーズ

台湾・香港・米国などからもご依頼があるそうです。送り先よっては、個人向けの発送ができない国があるので、ご依頼主は海外から直接田中さんの元へ、持ち込みで修理をご依頼されることが多いそうです。

金継ぎ修理が完了した品は、ご依頼主の日本のご友人やホテルまでお送りし、次にその方が友人の家に訪ねて来られた時にそちらに取りに来る、という方法をとられる方もいらっしゃるそうです。国を渡っての発送となると、破損のリスクも考慮しないといけないので、大切なものは時間をかけてでも持ち主ご自身で受け取られたいのですね。

金継ぎについての理解

金継ぎは日本の素晴らしい伝統技法ですが、依頼時にどのように出来上がるのか?と不安を持たれるお客様もおられるため、お客様に知っておいていただきたいことを、最初にできる限りお伝えされているそうです。例えば、外観。金継ぎは現物と見た目が変わるものであることを、最初にお伝えされています。このため、仕上がった後に好みと違うと言われることはないとのことです。

むしろ、「また使えるようになるとは思いませんでした!」と喜ばれるので、うれしいことです。「今まで割れたり欠けたりした器は全部処分してしまった!取っておけばよかった!もったいないことをした!」と、よく言われるそうです。

金額のお見積もりに誤差が出てしまうのを防ぐため、ご依頼者さまには修理を依頼される際に、一度器を水につけて、目に見えないヒビなどがないか確認してもらうようにしているそうです。

受注の時期、季節によっては、2週間~1か月ほど仕上がりまでにかかる期間が余分に掛かってしまうことがあるので、余裕をもってお待ちいただきたいことも事前にお伝えされているそうです。

金継ぎマッチングプラットフォームについて

取材者Yukiは、金継ぎや伝統工芸を一般の人にもっと普及させ、職人さんにより活躍してもらいたいと思い、インターネット上にマッチングプラットフォームを構築したいと考えています。 

これについてご意見をお願いしたところ、より多くの一般の方に金継ぎを知っていただけ、金継ぎ修理のご依頼が増える可能性が広がると、応援していただけました。

職人の皆様のお役に立てるよう、頑張ろうと思います。 

最後に、田中さんの金継ぎ作品例や作業場を見せていただきました。 

金継ぎの一例
金・銀・銅・錫の仕上がり色
金継ぎ作品例がたくさん並ぶ

最後に

「あくまで黒子として修理をしていきたい」と非常に謙虚な姿勢でお話されていらっしゃいましたが、お客様とのコミュニケーションを大切にされていて、喜んでいただきたいという熱い思いが伝わってきました。これからの田中さんの益々のご活躍を応援しております! 

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