こんにちは!金継ぎストYukiです!
15世紀の室町時代、茶の湯が栄えた時代に流行った、壊れた陶磁器をお直し装飾する技術「金継ぎ(きんつぎ)」(=「金繕い(きんつくろい)」、ともいいます)が、2020年に再び大ブームに!!
壊れてしまった陶器を捨てずに長く使っていきたいという気持ちだけでなく、金継ぎそのものを趣味として楽しみたい、気軽に挑戦してみたいという方が増えています!(まるでDIY気分!)そんな中、
・漆(うるし)を使ったことのない初心者が、本当に金継ぎができるのか?(漆って難しそう!)
・どうすれば簡単に金継ぎを成功させることができるのか?!(失敗したくない!)
・金継ぎには、どんな道具と材料が必要なの?!(簡単に手に入るの?)
など、いろいろと不安を抱える方も多いのではないかと思います。
この記事では、気をつけるべき金継ぎのやり方とポイントを5つまとめてご紹介いたします!!!
金継ぎのやり方 1:作業前によく洗う
どの金継ぎの本にも、一番最初に「器をよく洗おう」と書いてありますが、皆さん、あなどっていませんか?!
これ、とっても大事なんです!!!
少しの塩分・油分・ススなどで汚れた部分があると、漆が固まりにくくなります。あなたの器の割れ・欠け・ヒビ部分、なんだか黄ばんでいませんか?!割れ・欠けてから長期間放置していた食器や陶器を、「さあ金継ぎしよう!」となった時、もう一度きちんと中性洗剤で洗って、水で洗い流してください。
そして、水気を切って、器をよく乾燥させてから、金継ぎを初めてくださいね。茶渋がひどいヒビや割れは、漂白しておくのも良いです。割れの接着をした後で「なかなかくっつかないんです〜」「せっかく接着したのに、取れてしまいました〜」という方には、もう一度接着剤をとって分解して、洗うところまで戻って最初からやり直していただくこともあります。
こうならないためにも、金継ぎを始める際に「きれいだから大丈夫〜」と思わないで、もう一度、懇切丁寧に洗っておくことを強くお勧めします!!!
金継ぎのやり方2:割れの接着でズレない!
以前、【知っ得!陶器の金継ぎのやり方とコツ】という記事でもご紹介しましたが、割れがズレてくっついてしまったら、その後どんなに頑張って金継ぎしても、面白くないのです。。。
割れた器の接着工程では、割れた破片の断面の両面に自然の接着剤「麦漆(むぎうるし)」を塗り、破片同士を合わせて接着しますが絶対に段差がないよう、慎重に丁寧にくっつけて、そしてその後重力で絶対にズレたり外れたりしないように、しっかりとマスキングテープまたはセロテープで固定しましょう!
割れ面をマスキングテープで固定したら、竹へらの先やカッターの先などで断面に十字に触って、段差が本当にないかを確かめるのも大切です。
目で見ただけではわからないので、テープの上から触ったりなどして、指の触感でも確認しましょう。(テープの上から触らないと、はみ出た麦漆が手袋についてしまいます)漆に直接触るとかぶれる可能性があるので、ゴム手袋はしたまま確認しましょう。
その後、器は最低1週間、漆風呂と呼ばれる、特定の温度と湿度を保った箱(温度20〜30℃、湿度70〜85%)の中に入れて保管し、乾かします。
その時の、陶器を置く角度も大切です。重力で、接着面が下に押し付けられるような角度で置くと、ベスト!!!
以下の、東京金継ぎ教室 つぐつぐの生徒さんの、接着中の割れた器たちの置き方をご覧ください!
絶妙な角度とポジションで固まりました^^重力を利用してより圧をかけてくっつくように、縦に置くのです!これで、時間が経った後に、パカンと開いて折れてしまったり、重力でズレてしまうのを防ぐことができます◎
金継ぎのやり方 3:欠けは少しずつ埋める
欠けた陶器の金継ぎには、「刻苧(こくそ)」と呼ばれる、自然の材料・素材で作ったパテを作って埋めていくことが多いです。刻苧は、先程の接着で使う「麦漆」に、木粉や砥粉を加えて作ります。(麦漆は、小麦粉・水・生漆を混ぜて作ります!)職人さんによっては、地粉や、刻苧綿など、他にもいろいろなものを加えてつくることもあります。
刻苧は、一回にすごく薄く埋めて、1日以上おいて乾かしてから、また薄く埋める、、、を何度も繰り返してください!一度に厚く埋めると、表面だけ乾いて中が生乾きになり、一生中が乾かないことがあります。
どれぐらい薄くかというと、0.5mm – 1mmくらいです!すごーく薄くしか付けないでください!!1mmを超えた厚さで埋めると、1週間、1ヶ月かかることもあります。
0.5mm – 1mmの薄さを守れば、1日おいたらまた埋めることができて、結果的に早く埋まりきります。金継ぎは、焦る心を落ち着けて、ゆっくりやりましょう(๑˃̵ᴗ˂̵)و.
金継ぎのやり方 4:下地を真っ平らに仕上げる
欠けの修復の金継ぎが美しいのは、完成時に真っ平らな継ぎ面がピカーっと光り輝くから!しかし、この下地がうねうね・ボコボコの状態だと、金粉を最後に蒔いた時に、その凸凹が丸見えになります。それを防ぐために大切なのが、ペーパーによる研ぎ。
刻苧はできれば毎回薄く平らに埋めていって欲しいですが、最終的に欠けが埋まりきった時には、まっ平らになるように、サンドペーパーを使い、根気よく研ぎまくります!!!これでもかっていうくらい、ひとつのシワもないくらいつるつるに研ぎます!ここで頑張っておくと、後の仕上がりが違います。下地がきれいだと、化粧しても何してもきれいなのは、お肌も金継ぎも同じですね(笑)
サンドペーパーで研ぐ時に、力を入れすぎると、せっかく埋めた刻苧がポロっと取れてしまうことがあるので、力を入れる向きなどは、十分注意してください。また刻苧は、漆が乾いているとはいえ、サンドペーパーで研いだ粉がぽろぽろ机に落ちて、それが手や手首に付くとかぶれることがまれにあるので手袋と、長袖やアームカバーをして作業した方がベストです。
そして、刻苧で研いだ表面が完全に平らになったかを知るのには、手袋をしていると分かりずらいので、平らになったかのチェックの時だけ、刻苧の上を指の腹で触れて確認するようにしましょう。
金継ぎのやり方5:仕上げの漆はとても薄く塗る
「薄い」という言葉の解釈は、人それぞれ違うなぁと、金継ぎの先生をしていてよく思います。
金継ぎもいよいよ最後のステップの仕上げ。金粉を蒔く前に、すでに黒漆を塗ってあった割れ・欠けた面の上に、弁柄漆を薄く塗ります。
「かすれる手前くらものすごく薄く塗ってくださいね!!!」と声を大にして3回くらいお願いするのですが、90%くらいの人が、私が思っているより分厚く塗ります(笑)そして、「そもそも、なんで薄く塗らなきゃいけないの?」という質問をよく受けます。
ですので、その大きな理由2つを、下記にご紹介します。
【理由1】金粉が沈澱し表面が光らない
漆が分厚いと、上から蒔いた金粉が漆の中に沈澱していき、表面に残らず光らなくなります。
金粉を蒔いたあと、少しその場に置いておくのですが、時間が経ったら、薄く塗ったはずの弁柄漆の赤みがまた浮き上がってきた!とよく言われます。これは、塗った漆が厚かった証拠。
こうなったら、浮き上がってきた赤みの上から再度金粉を蒔いてもらう、を繰り返します。
金粉を蒔くのを繰り返せば繰り返すほど、沈澱する金粉の量が増え、無駄に金粉を消耗します。ある意味、金粉をたくさん含んだ表面になっているので、使用中に擦れていっても下の層の金粉があるので、色があせにくいという利点はあるかもしれません。
【理由2】余分な漆を真綿で引いてしまう
液体の漆がたっぷり含まれた表面のうえから真綿で金粉を蒔くと、余分な漆を真綿で引いてしまう確率が高くなります。
消粉仕上げでは、真綿の先に金粉をたっぷりつけて、それを漆の上に優しくのせていくのですが、漆が厚いと、漆の液体が真綿について、線の外まで伸ばしてしまうのです。釉薬のかかったつるつるした器では、そうなってもリカバリーは可能で、乾いた後にカッターなどで、いびつになった線を削りとることになります。
釉薬のかかっていないざらざらした器では、漆が器の他の部分についたら、シミがついて取りにくいので、そのままの形で残ってしまうかもしれません。
…ということで、仕上げの金蒔きの前に塗る漆は、至極薄く塗りましょう。
また、漆を塗った後、厚かったかな・・・と思ったら、すぐ金粉を蒔くのではなく、15分〜30分くらい待ってから蒔くと、漆を塗った表面の筆の塗りムラが表面に均一になる時間があることと少しだけ漆が乾くことで金粉の沈殿が起きにくくなり、安心です。(ただし、梅雨の時期などは高温多湿で漆がとっても乾きやすいので、それほど長く待たない方が良いです。漆は繊細ですね。)
でもやっぱり、最後に塗る弁柄漆は、もうこれ以上ないくらい薄く塗っておくのが、ベストです。色を塗るという目的ではなく、金粉を表面にくっつけるために必要最小限のノリを薄く塗る、という気持ちで行ってください◎
初心者でも簡単に金継ぎを成功するには
今や金継ぎは一般の方でも、初めての方でも、ご家庭で気軽に挑戦し、楽しめるようになりました。しかし手順書やYouTube動画をみても、新しいことだらけで、いまいちどこに一番気をつけて良いかわからないことも。
実は、職人さんが手がける修理ような、ものすごく綺麗で完璧な金継ぎを目指すわけでなければ、細かいことを気にしなくても、どなたでも失敗せずに金継ぎできます!
しかし、もしあなたが、それぞれの工程で1つずつ気をつけることがあるなら、今回の記事であげた5つのやり方のポイントを試して、金継ぎに挑戦してみてください(๑˃̵ᴗ˂̵)و.
みなさんが、自慢したくなるような金継ぎ作品を手掛けられるよう、応援しております!!!
金継ぎ道具・材料を全てそろえるには?
私は、1年前の2020年5月に始めて金継ぎキットを販売開始しました。その後、購入者のお声をもとに、2020年10月に手順書の大改訂およびデザインを新しくし、2021年の1月には、Amazon・楽天・ヤフーで金継ぎキットの中でNo.1をいただくほど、お客様からご好評いただいております!
金継ぎに興味を持って、自分でやりたい!と思われた方に、最高の経験をしてほしい。それは、できるだけ失敗なく、キレイに仕上げてもらうこと。つまり、その説明が大切!だと思っています。
これまでの1年ほどで5回くらい手順書を改訂しましたが、これからももっと良い手順書にしていきたいと思っています。
今ちまたで売られている金継ぎキットの中には、2万円を超える高いものや、7万円もする超高級なものなどいろいろありますが、少しでも敷居を低くして、手軽に金継ぎを始めていただきたい思いから、Yukiは開発当初から、なんとか税込1万円以内にしたいと思い最もシンプルなつぐキットを、税込9,980円でオンラインで販売しています。
2021年2月からは、東京広尾/恵比寿エリアにある、つぐつぐのお店でも購入できます。
仕上げに使用する金粉が純金であることから、金粉の量が値段に与える影響が最も大きく、その後金粉・銀粉の量に応じて金額が異なるシリーズ展開をし、お客様のニーズにあった商品を提供するようがんばっています。
もっとたくさん金継ぎしたい方や、銀継ぎ・プラチナ継ぎなどの、仕上げの色の変化を楽しんでみたい方には、1万円台のシリーズがありますので、見比べてみていただければと思います!
なお、仕上げの粉(金・銀・プラチナ)が違っても、金継ぎの仕方そのものは変わらないので、現在Yukiが販売している金継ぎキットは、全て初心者向けです。(2021.9.23現在)
金継ぎのやり方、道具・材料の使い方を、オールカラーの丁寧な手順書で説明しているだけでなく、プロが撮影したYouTube動画で、細かな作業もズームアップして視覚的にも理解できるようになっています!
このような、おうちで自分で使える金継ぎキットはたくさんありますが、やっぱり自分には難しい気がする…先生から直接習いたい!というお声にお応えするべく
2020年12月から東京四谷で金継ぎ教室を開講し、
2021年2月には東京広尾に金継ぎ教室の店舗で、皆様に金継ぎの魅力を広めています!!!
※2021.9月現在、3人の先生が、毎日金継ぎを教えています。
そんな中、金継ぎをやってみたいけど、割れた器がない!!というお声も耳にします。ご友人やご家族に声をかけて必死に割れた器を集めたり、もしくは本末転倒ですがまだ使える器をわざと割って持って来られる生徒さんもいます。わざと割ろうとすると、バキバキに割れてしまい難易度が高くなり、金継ぎできるものの初心者には難しい状態になってしまうことが多いです。
つぐつぐでは、もう捨てようかと思っていた壊れた陶器・磁器・陶磁器のドネーションを、環境保護に関心のある企業様から承っているため、割れた器がなくても、ご提供しますので、お気軽にお声がけください!
しかし、東京郊外の方やお時間が合わない方は通えないため、4月よりZoomを使ったオンライン教室を開始し、日本全国どなた様でも先生に質問できる仕組みをつくりました!!!(海外にいる日本人の方も受講してくださっています^^)
特別イベントとして、2021年11月には、Yukiと同じくSDGsに関心のある会社様からの熱いご依頼により、初めての1日ワークショップを浜松で行います!(金継ぎの旅〜♪)1日では完成しない伝統金継ぎですが、金継ぎの魅力を十分に知ってもらえるように、がんばります^^
金継ぎファンの全てのニーズに150%の満足度でお応えできるよう頑張っています!!!
金継ぎキット専門店「つぐつぐ」とは?
つぐキットを販売するオンラインショップを
金継ぎ・金継ぎキット専門店「つぐつぐ」
Traditional Kintsugi Shop TSUGUTSUGU
という名前に決定いたしました!!!
そしてロゴも作りましたよ^^(お教室のロゴとすごく似ているが。)
現在、ありがたいことに、アマゾン・楽天・ヤフーで、お客様からも、時にご指摘をいただきながらも、星4.5以上の全体的に大変良いレビューをいただいており(2021.5.5時点)感謝してもしきれません。
実は現在、手順書をもっと見やすく、詳しくして欲しいというご要望にお答えするため、手順書のページ数を4ページ増やして、シンプルさは残しつつも、つまずきやすいポイントを徹底解説し、ヒビについての特別な説明も追加し、写真もプロによるわかりやすく大きなものに改訂する作業中です!!!(※追記:2021年8月、完成しました)
さらには、オンライン教室で、コロナ禍でも皆様とつながりを絶やさずサポートさせていただいております!!!
器を継ぎながら、人と人をつなぐ。
今後も、一人でも多くの方に満足していただけるよう、やりたいことは山ほどあるのですが、一つずつ頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします^^
金継ぎ教室つぐつぐ お問い合わせ
気になること、ご質問がありましたら、下記までお問い合わせください!
東京金継ぎ教室 つぐつぐ
〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿2-21-2 akikito apt. 1階
電話:03-6879-0940
メール:info@kintsugi-girl.com
営業時間:10:00 – 18:00 (不定休)
皆様のご来店と、オンラインショップ・レッスンを通じてのご縁を、楽しみにしております^^
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